【貸借対照表とは】わかりやすい読み方と分析方法!【要点は5つだけ】

貸借対照表とは】わかりやすい読み方と分析方法!【要点は5つだけ】

(令和元年8月14日更新)

 

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今回は決算書の最重要シートである「貸借対照表」の読み方についてです。

 

この記事は「決算書 読み方」もしくは「決算書 分析」と検索してくださった方を対象に書いています。そもそもですが、決算書の読み方というのはつまり分析することと同じ意味合いです。なので下記には基本的な読み方及び分析方法と、メインとなる勘定科目をもとに記載してあります。

 

また、決算書の基本的なことについては別記事にまとめてみたので是非ともご覧ください。

rkaientai.hatenablog.jp

   

 

貸借対照表の分析 【 流動資産 】

 

貸借対照表は大きく5つに分けられています。まずはそのひとつめ、流動資産の部を見ていきます。決算書の読み方において、基本的に流動資産は多い方が良いのですが、その中には少ない方がよい科目もあります。

 

ひとつずつ理解して自社の貸借対照表を調整していきましょう。

 

流動資産とは

流動資産とは「一年以内にキャッシュになる資産」のことをいいます。内訳としては、

 

 

〇 現金・預金

   口座にある「預金」と、そして通常、社内にある程度の現金をおいて業務を運営します。それを「現金」としています。現金・預金は多いに越したことはありません

 

利益の積み重ねによってこの現金・預金の項目を増やしていくことが企業の第一目標となります。わかりやすいため安易に考えがちですが、実は一番大切なところなのです。

流動資産は多い方がよい、というのはこの現金・預金のことなのです。

 

 

売掛金

   請求書を発行してから即金即払いで受け取らない限りは、口座振込か小切手での支払いとなります。この、「口座に振り込まれるまで」、もしくは「現金回収するまで」の間の「ほぼ約束された状態のお金」を売掛金と呼びます。

 

しかしここは要注意ですよ。売掛金は少ない方がよいです売掛金はいずれ入ってくるお金なので、この項目が多いのはよいことと捉える人がいますがそれは間違いです。まだ回収できていないお金であるため油断ができないのです。なんらかの理由でお客さんがお金を払ってくれなかったり、もめて売上金の回収が困難になった場合、そのお金は損失になるわけですから。

 

資金繰りとも関連してくることですが「回収サイトははやく、支払サイトはおそく」が大原則です。売掛金はできる限りはやく回収し、少ない状態に保ちましょう。

 

 

〇 棚卸資産(在庫)

 社内にどれだけの在庫があるかを金額で表します。在庫=資産とイメージがしやすいため、棚卸資産というワードに抵抗のない方が多いかと思います。

 

こちらも少し注意が必要なポイントです。後の固定資産の部で記述してありますが、資産は多ければよいという考え方は誤りです不要な資産は持たないことです。在庫についても同様で不要な物、いつ売れるかわからない物はお金をかけてでも処分しましょう。一時的な処分費がかさんでしまいますが、棚卸資産の項目をスリム化し、適正な数字にしましょう。でないと、自社の財務状態が健全であるのか、そうでないのか、見失ってしまいますよ。

 

建設業の場合、それもとくに造園業者にありがちなのですが庭石の費用です。石材の場合は値段があってないようなもので、造園バブル期のまま棚卸資産として計上してしまっている業者が多いようです。これは問題ですし、下手すればうっかり粉飾決算を作り上げてしまったなんてことにもなりかねません。顧問の税理士の方などによく相談してみましょう。

 

製造業の場合は物を作って、在庫として計上すればそれだけで利益となってしまいます。売れなくてもです。詳しくは別記事にて紹介しますが、実際によくある話です。違法ではないのですが立派な粉飾でもあります。なによりも偽った数字によって自社の貸借対照表の実態を見失うことに直結します。

 

棚卸資産の項目も安易に考えられがちですが、健全な決算書を作るうえでは絶対に手を抜けないところです。

 

そのほかにも有価証券や受取手形、その他の項目といったものがありますが、まずは上記の3つを確実に理解してコントロールしましょう。

 

 

貸借対照表の分析 【 固定資産 】

 

引き続き固定資産の部を見ていきます。

 

固定資産とは

固定資産とは「長期(一年以上)にわたって保有することで間接的にお金を生み出す手伝いをしてくれる資産」のことです。多ければよいというものではありません。不要な物は持たず、資産のスリム化を図りましょう。

 

 

〇 土地

会社名義で所有する土地の評価額が記載されています。不動産を多く所有していることはよいことですが、遊休地になってはいませんか。資材置場や土場、その他の活用法で利益を生むための土地であることがベストです。

 

遊休地であるなら現金化して会社への投資資金にするか、その土地を利用することを考えてみましょう。その行動はきっと新しい事業へのきっかけとなります。

 

 

〇 建物

会社名義で所有する建物の評価額です。土地と同様に不要な建物は解体処分しその土地を有効活用できないか考えてみましょう。注意すべきは「評価額であること」です。土地や建物を売却しようと検討してもその価格では売れません。不動産によると評価額の7割前後が売却金額の相場となるそうです。

 

実際に売れそうな土地であれば心配はいりませんが、このような事例もあります。

山間部地域で広い土地を売却しようとしましたが、買い手がつきませんでした。≫

このように何百坪という広さで、何千万という評価額であっても、買い手がつかないような物件であれば0円と同じです。評価額に惑わされて本当の価値を見失っていませんか。資産が多いとこのように決算書の実態がつかめなくなることがあるので要注意ですよ。

 

 

〇 車両・機械

これらは減価償却されています。無理に増やす必要もないため、あまり気にとめなくても構わないところです。あると便利、という理由や、創業時に買ったから思い出があるといった理由から、とても古い重機や機械を残している会社もみかけます。先代が必死な思いで購入した重機です。このような思い入れのあるものを無理に手放す必要はありませんが、維持費や修繕費と見比べて今後の会社にとってベストな判断をしましょう。

 

その他にも無形固定資産として電話加入権や借地権、投資等といった項目もあります。よくわかりにくい項目が多いかと思いますが、自社の決算書に関するものだけで良いのでできる限り調べて把握しておきましょう。

 

とにかく不要なものを処分し、必要なものだけを残して固定資産を少なくしましょう。総資産のうち固定資産が4割以下になるようにしてみてください。その状態であれば資金に余裕ができてきます。長期計画では流動資産が8割、固定資産が2割になるように戦略を立てましょう。少ない設備(固定資産)でたくさんの資金(流動資産)を生むことができる会社にしていくわけです。

 

資産を少なくせよという理由はもう一つあります。自己資本比率の改善化のためです。自己資本比率は「資産をどれだけ自力で賄えているか」を表します。今ある資産から利益を有効的に生むことができる健全な会社であるかの指標で、決算書で最初にチェックされる数字です。自己資本を増やして資産を減らすことでこの指標は伸ばすことができます。

 

とにかく!できるだけ資産のスリム化を図りましょう。

 

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 貸借対照表の分析 【 流動負債 】

 

次からは貸借対照表の右側の流動負債の部を見ていきます。

 

 流動負債とは

 

まず流動負債とは「短期(一年以内)に支払わなくてはならないお金」のことです。

 

会社から出て行ってしまうお金のことなので流動負債の合計額は少ない方が良いとされています。どれくらいまで抑えておけば良いのかというと、資産の2割程度が理想的です。

 

ただし、自己資本の部を大きく肥やすことと同時に行わなくてはならないため、時間をかけて改善しなくてはならないところです。

それでは流動負債の内訳をみてみましょう。

 

 

〇 買掛金

売掛金とは反対に、買物をした際にツケとなる支払金のことです。ここは少し矛盾するところですので落ち着いて整理しましょう。

 

流動負債は少ない方が良いと前述しましたが、買掛金は多い方が良いのです。この矛盾はどういうことかというと、資金繰りが関係しているからです。決算書のバランス的には流動負債額は資産の2割程度に抑えたいのですが、資金繰りからの目線で考えると支払いはできるだけ遅くが原則です。

 

支払いを遅らせるとは、つまり買掛金の減りが遅くなると同じなので矛盾となります。資金繰りを優先しつつ、自己資本の部を増やすことで流動負債の部を2割へとしていきましょう。

 

 

〇 短期借入金

一年以内に返済しなくてはならない借入金のことで、銀行や政策金融公庫などからの融資や、短期でローンを組んで購入したものなどがこれに該当します。ボーナス月にあわせて借入れしたり、緊急の運転資金のために借入れすることが多く、そのどれもが数ヶ月での返済プランとなります。

 

資金繰りが良好な会社であれはとくに気にすることなく返済しておけば良いのですが、資金繰りが苦しいととてもネックになってくる部分です。その時は借換えをして長期借入金にしてしまいましょう。

 

 

 〇 その他の流動負債

その他には未払金や、未払消費税、支払手形などなど、支払わなくてはならないお金がたくさんの勘定科目で計上されます。この辺は内訳を知らないとなんの支払いのことなのかわかりません。

 

例えば未払金で100万円と計上されている場合があるのですが、把握していないとなんの未払金なのか、ひとつひとつ経理帳簿から探す必要が生じます。一番手っ取り早いのは決算書を作った経理担当者、もしくは顧問の税理士に相談しましょう。

  

冒頭でも述べたように流動負債とは一年以内に支払わなくてはならないお金のことです。資産の2割程度になるよう資金繰りをコントロールしましょう。同時に利益を出し続けることで自己資本を増やし、貸借対照表の右側だけで

流動負債2 : 固定負債4 : 自己資本4

の割合に作りあげます。「自己資本4」の部はつまり自己資本比率のことで、まずは40%を目標にします。自己資本比率については別記事で詳しくありますのでそちらをどうぞ!

 

rkaientai.hatenablog.jp

 

自己資本比率は利益を増やすことと資産をスリム化させることで改善できます。上記の割合は最初の目標ですので、会社が安定してさらに利益を生むことができるのであれば

流動負債2 : 固定負債0 : 自己資本8

 というバランスを目指しましょう。これこそが潰れない会社の条件の1つなのです。

 

 

貸借対照表の分析 【 固定負債 】

決算書の読み方シリーズ、4つめです。貸借対照表の右側の固定負債の部を見ていきます。

 

 

固定負債とは

まず固定負債とは「長期に渡って返済しなくてはならないお金」のことです。こちらも会社から出て行ってしまうお金のことなので固定負債の合計額は少ない方が良いです。

 

借金経営とよばれるのは主にこの固定負債があるかないかの話で、固定負債がゼロだと無借金経営であるというわけです。しかし大半の会社は借金があります。あって当たり前なので悪いことではありません。ただしその借金が多すぎると資金繰りの圧迫や、決算書のガンとなったり、いろいろと悪い結果を生み出してしまいますので要注意です。

 

rkaientai.hatenablog.jp

 

別記事に記載してありますが、自分でいくらまでなら借入金を増やそう、などと考えて融資を受けることです。絶対に銀行員などに流されるまま融資を受けてはいけません。

 

では、どれくらいまで固定負債額を抑えておけば良いのかというと、資産の4割程度が理想的です。ただし流動負債と同様に、自己資本の部を大きく肥やすことと同時に行わなくてはならないため、時間をかけて改善しなくてはならないところです。

 

それでは固定負債の内訳をみてみましょう。

 

 

〇 長期借入金

長期にわたって返済しなくてはならない借入金のことで、銀行や政策金融公庫からの融資がこれに該当します。社内の設備を充実させるための設備資金や、普段の支払いなどのための運転資金として借入れすることが多く、そのどれもが長期ローン(5~10年など)での返済プランとなります。

 

上記の流動負債にて短期借入金について述べましたが、それと同様に資金繰りが良好な会社であれはとくに気にすることなく返済しておけば良いです。しかし、資金繰りが苦しいと人体におけるガン細胞のように会社を蝕んでいく存在です。

 

その時には不要な資産、もしくは売ることができる資産から現金を捻出し、借入金を繰上返済してしまいましょう。固定負債が具体的にどれほど資金繰りに影響を与えるのかはまた別に記事を書きたいと思います。

 

 

〇  役員借入金

資金繰りがショートしそうな時や、急な要り用でまとまったお金を用意したい場合に役員借入金というものを計上することがあります。個人事業でよくみられるこの役員借入金というものは、社長や、社長の身内(役員)が会社のために身銭をきることで発生します。つまり役員から借りたお金です。

 

借りたお金なのでいずれは役員へ返してあげなくてはなりません。そのため固定負債に仕分けされます。この役員借入金は特別な使い道があり、そのまま会社の資本に組み込むことができます。

 

資本金1,000万  、  役員借入金1,000万

の状態から、

資本金2,000万  、  役員借入金0

というふうにできます。

 

ただし、この増資には意味がないのでオススメしません。資本金が増えれば自己資本の部で少しだけ良い方へ影響しますが、資本金にもランクがあり、資本金3,000万に到達しないのであれば1,000万のままでいましょう。資本金について詳しくはまた後日ということで。

 

では役員借入金の使い道はどうするのが良いのでしょうか?

 

債務免除

債務免除、通称DES(デッドエクイティスワップという経理処理方法があります。これも詳しくは自己資本比率と関連付けて記述してありますが、赤字が膨らんだ場合に役員借入金をあてがい、赤字の相殺を図ることができます。

 

返せない役員借入金はいっそ利益として計上してしまおう!というのがこの債務免除なのです。その代わり役員にお金を返すことができなくなるので役員次第の方法です。これができる役員は本当に会社のためを思うことができる人です。

 

 

 〇 その他の長期未払金

その他には長期的な未払金があります。会社としてリースしたり、ローンを組んで購入したものがここに計上されます。内訳がわからない場合は経理帳簿から探したり、決算書を作った経理担当者、もしくは顧問の税理士に相談しましょう。

 

 

固定負債とは長期にわたって返済しなくてはならないお金のことです。資産の4割程度になるよう資金繰りをコントロールしましょう。同時に利益を出し続けることで自己資本を増やし、貸借対照表の右側だけで

流動負債2 : 固定負債4 : 自己資本4

の割合に作りあげます。借金を返済して固定負債4を維持するか、固定負債が増えたぶん、自己資本の利益を増やすことで資産全体の底上げをするかのどちらかです。

 

流動負債2 : 固定負債0 : 自己資本8

流動負債の時にも書きましたがこれくらいの決算書バランスを目指して経営するのが理想です。ただし、この状態で満足してはいけません。資金繰りが良好であるならば積極的に融資を受けて資金調達し、新規事業を考えていきましょう。現状維持の会社になれば先はありませんから。

 

 

貸借対照表の分析 【 自己資本 】

最後の要点は自己資本の部についてです。自己資本というのは読んで字のごとく、自社のお金です。流動負債と固定負債は外部から調達した資金なので他人資本と呼ばれるのに対し、自己資本は自社が長年かけて蓄積した利益、つまり誰にも返さなくてよい、支払わなくてよい本物の自社だけのためのお金ということです。

 

ここをいかにして膨らませて肥やしていくかが商売です。こちらについてはとくにウェイトが大きいので別記事にまとめてあります。(上記にもリンクが貼ってありますが・・・)この自己資本比率を40%以上に持ち上げることが最初の課題です。

 

rkaientai.hatenablog.jp

 

 

~ 本記事まとめ ~

 

さて、今回は「【貸借対照表とは】わかりやすい読み方と分析方法!【要点は5つだけ】」というタイトルに沿って、5つに要点をおいてできるだけわかりやすくまとめてみたつもりです。この記事をはじめ、他の記事もが少しでも多くの方にお役立ていただくことができればと思います。

 

そして、あわせて読んでいただきたいのがコチラ!

rkaientai.hatenablog.jp

 

こちらの記事は僕ブログの中でもとくに自信をもってオススメできる内容です。決算書に関して勉強するのであれば必読願います。決算書の基本をマスターし、本記事で基本的な読み方と分析を学んでいただいた後、上記リンク記事でさらに徹底的に分析して最強の決算書をつくるという手順です。たぶん3年ほどかければ見違える会社となり、その決算書を見た銀行の金融マンなどは驚くことでしょう!

 

 

では以上、貸借対照表の読み方、分析の仕方についてでした。